第二話「違和感」




渋沢はもう一度写真をじっくりと眺めることにした。

数枚ある大勢で写った写真には、自分と三上と藤代、それからある時期からそこそこの交流を持つようになった桜上水中学のサッカー部が数人いる。

以前武蔵森にも在籍していた風祭、今はここの高等部にいる水野、数年前は桜上水にいながら関西選抜に参加して驚かせてくれた藤村。

桜の横で、交互に撮っていたんだろう、メンバーの入れ替わった写真。

今は風祭はドイツで治療中で。
滅多に顔の見られなくなった彼に懐かしさを感じる。

口元を緩ませて、渋沢はさっきの違和感は懐古のすり替えだったのかと思い当たる。

それから風景の写真。
シャッターを切るタイミングを失敗したのか桜だけが写るそれは胸が熱くなるほど綺麗なもので。
何故自分がこれを大事に保管しているのかは思い出せないが、きっとあまりにも綺麗だったから、なのかもしれない。



そうして最後に自分ひとりの写真。

今の自分よりは若干幼い風貌は、逆に客観的に見ることが出来る。

この日がそんなに楽しかったのか、自分でも微笑ましくなるくらい嬉しそうな笑顔。



一体いつ頃撮った写真なんだろう。
楽しそうな写真だから、少しくらい記憶に残っていてもいいものなのに。



渋沢は思い出そうとして、また違和感を感じる。

何だ。
この違和感は何だ。

ただ記憶にないだけで、このメンバーでは時折遊びに行っていたことはあったのだからおかしくはないはず。

なのに。

なのに?





渋沢は、いつしか部屋の整理など捨て置いて、机の上に写真を並べていた。

気のせいだろうか。
いや、気のせいなんだろう。

何故これを気のせいと思える?



自分の意思以外の何かが働いているような気さえしてくる混乱を抑え、やがて渋沢はひとつの決定的な違和感を、見つけた。













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